2009.11.02 Monday
結果を出す人の勉強法 評価、信頼、報酬、ワンランク上の仕事を手にする学び方
自分を成長するサイクルをいかにまわしていくのか
著者の水野浩志氏は現在、「高品質セミナー作成講座」のタイトルで、プロ講師のためのカリキュラム構築メソッドを提供している。その著者が本を出すというので何の本かと言えば、これが一見、ありがちな勉強法の本ということになっている。
ちなみに私が本を見るとすぐに考えてしまうのが、この本を誰にどのように売るべきか、ということ。それは元本屋さんの宿命みたいなものである。
著者の水野浩志氏は現在、「高品質セミナー作成講座」のタイトルで、プロ講師のためのカリキュラム構築メソッドを提供している。その著者が本を出すというので何の本かと言えば、これが一見、ありがちな勉強法の本ということになっている。
ちなみに私が本を見るとすぐに考えてしまうのが、この本を誰にどのように売るべきか、ということ。それは元本屋さんの宿命みたいなものである。
実際、この本の特徴として思うのは、著者の体験からきた、成果を出す人と出さない人の違いが、著者なりの方法で記載されているということだ。きっとこれまでいろいろ勉強されてきたんだろうなぁ、と思った。
この本は本当のところは、勉強法の本ではない。世の中には勉強オタクみたいな人がいて、世の中は勉強本ブーム。個人的には、勉強法のレパートリーを増やしたくて読んでいる人が多いのか、それとも世の中の勉強法本がほとんどまったく役に立たない代物なのか、どちらなんだろう?と悩んでしまう。
勉強法なんてものは自分で見つけるものだし、自分に合った方法を編み出すものだと私は思っている。そして合っているかどうか、というのは常にアウトプット。結果や成果だけなんだと思う。
この本を書いている著者の視点を考えれば、例えば講師業やセミナー業をやる場合に、成功する人としない人というのは視点のどこが違うのか、それを書いた本だろう。逆に言えば、セミナーや研修などの成果は参加者の変化なり成長なりにあるので、成長しない参加者のタイプがわかる、ということだろう。
この本の考え方はシンプル。ビジネス上の勉強というのは「成果」を出すために行う。成果というのは顧客価値であり、お金と交換されるものである。それは「情報収集」「意思決定」「価値提供」の3つのプロセスから成り立っており、「読む」「聴く」「観る」「話す」「書く」「作る」の7つの行動で生み出される。勉強というのはこれらの行動のボトルネックを洗い出し、改善して検証することである。
だから彼の「勉強」という考え方は、BSCの「学習と成長」に近いのかもしれない。そこにTOC的なボトルネックを改善する解決法を入れ込んだというものであり、この考え方は人事や人材開発する人のお仕事のヒントになるかもしれない。
いわゆる勉強本が教えてくれるのはあくまでインプットの仕組みまで。勉強したことがいかに顧客への価値提供につながるのか、なんてことを書いてしまった本というのは、確かにお目にかかったことがなかった。
これはタイトルの問題もあって、ちょっと損をしているかもしれない。この本は勉強法を知りたい人のための本ではなく、自分を成長するサイクルをいかにまわしていくのか、ということについての自己啓発本である。そして大事なのは結局、インプット量よりも、行動と継続なのだ。
インプットのためのインプットが大好きな頭でっかちの人に、手にとっていただきたい一冊である。