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2009.10.25 Sunday

「論語」に帰ろう

「論語」を知る意味

 論語が今、ブームなのだろうか? 以前、大手書店でマネージャーも勤めた経験を持つ著者によれば、世の中が不景気になると「孫子」が流行し、景気が良くなると「論語」が流行するという。今の世の中は人が信じられなくなっている時代かもしれない。だから、不景気でも「論語」に注目が集まるのかな、とふとこの本を読んで思った。

 著者の守屋淳氏は、ビジネス雑誌などにも連載を持つ中国古典の研究家。実は実父が有名研究家の守屋洋氏である。私は個人的にお二人にお会いしたこともあるのだけれども、お父さんの方が現実離れした超然としたところがあるのに対して、淳氏はユーモアがあっても現実世界に足がついている感じの人物。この本はそんな著者ならではの魅力が存分に発揮された一冊だと感じた。

 というわけで、この本はとても読みやすい。そして手に入れられる成果は3つ。ひとつは、日本社会の中に意味不明に溶け込んでしまっている論語の思想を読み解く力がつくということ。法律の条文にまで影響しているというから、何故、これが正しいとされているんだろう?という謎の解明の、手がかりが得られるという意味で有益である。

 ふたつ目は、論語の思想の中で、重要な漢字をピックアップして伝えてくれる分かり易さ。「仁」「恕」「知」「勇」「性」などの文字に込められている意味がわかり、これはちょっと豆知識としていろいろなところで使えそうだ。

 そして3つ目は、何故、論語なり孔子なりがこれほどに崇め奉られることになったのか、その謎がわかる、ということだ。ただし、この謎がわかる、というのは、謎であることがわかる、という意味。著者は「論語」と『論語』と「儒教」を区別することによってそれをぼかしながら解説している。

 個人的には、孔子が自分の教えを弟子に押し付けない、というところにコーチングの原点を見つけたような気がした。このように、誰もが何かの原点を見つけてしまうあたり、「論語」は、古代中国から脈々と続く、壮大な道徳・倫理の教科書制作プロジェクトのような気がしてならない。

 3つ目の論点から言えば、同じ平凡社新書から出ている『儒教 ルサンチマンの宗教』と合わせて読むと、歴史的な理解は深まるかもしれない。(ただし、こちらは少し難解で、かなり過激な書だと思います。。。)

 特にウケたのは、ドラえもんとのび太による、孔子とその弟子とのやりとりの再現である。今の時代のように文字の文化を前提にしている思想と、この時代のように声の文化を前提にしている思想というのは、こういう違いがあるのだなぁ、と、かなり納得した。

 「仁義なき戦い」の「仁義」って? など、本書にちりばめられたユーモアあふれるトピックスも含めて、読んで買って損のない「論語」入門書である。


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