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2009.03.29 Sunday

徹底抗戦

ホリエモン帝国崩壊記

 書評の前に立場を明確にしておこう。私は個人的には堀江さんのキャラは好きだし、技術者から腕一本で会社を興し、大きくしたことは評価している。しかし、そのクリエイティブな才能をマーケティングに使い始めたときから迷走していると感じていた。しかし、ブログも読んだことはない。だからファンというほどでもない。

 しかし、小泉さん同様、既成概念の破壊者として、イノベーターとしては尊敬していた。仕事術の本もとても面白かったし、今でも参考になっている。旧来の常識を壊し、新しいものを打ちたてようというのも、どちらかというと若者側からすれば、とても気持ちの良いことだ。


 株式100分割による東証のパンクなどは、これはあまりの日本の株式市場、ひいては金融市場のシステム的な脆弱さと革新のなさにメスを入れる結果になった。これは違法ではないが、思わず政府を敵に回すことになった。頭の良さが仇になったわけだ。

 投資組合を使ったスキームによって得た利益を売り上げに計上し、好業績を見せかけてそれが逮捕の理由となった。逮捕されてからはマスコミのバッシング。旧来の側の人が天下を取ったかのような批判。なんていうか、幼稚な国で、これによってホリエモン批判以外のことは言いにくくなり、物事の本質は隠されてしまった。

 物事の本質を読み解くために、この本を手に取った。先の時代を予測した天才クリエイターは、どこでどのようにして道を踏み外したのか?

 読んでわかった。ホリエモンは孤独なのだ。そしてそれを自覚していないし、今も変わっていない。この本には、感謝すべき人への感謝の言葉もない。(まあ、徹底抗戦なんだから当たり前だが。。。

 経営者は孤独な存在だ。しかし、孤独な人は経営者に向かない。そして、孤独な人は他の人が何を考え、どういう行動をするのかについて無頓着だ。それは結果として、周りの人をうまく扱えず、最後には裏切られることになる。

 ホリエモンにはビジョンがあった。それもかなり大きなビジョンである。きっとそれは実現可能なもののように思えただろう。それは彼の周りの人間が、彼を祭り上げる形で会社を大きくしてきたのだろうから。彼には悪いところは何も見せず、よいことだけを吹き込み、アイデアを出させてそれを実現させる。要は、会社を大きくしていたのはホリエモンではなく、彼を利用しようと考えた回りの「大人」だったのだ。

 もしかしたらはじめからその構図だったのかもしれない。自分ができることを他の人にやらせる。この発想では組織は本来、大きくならない。しかし大きくなってしまった。オン・ザ・エッジというホームページ製作会社だった頃には問題はなかったのかもしれない。しかし、その秀才性のコインの表裏にある圧倒的なマネジメント能力の低さは、結局、側近達の裏切り(宮内氏は多額の横領をしていたことが明らかになっている)という形でまずは現れ、マスコミのバッシングという形で現れた。

 彼はこの本の最後で「人を信じるということについて、改めて考えてみなければならない」と言っている。普通は学生時代にチーム活動を通して、ある社会に出て、失敗を重ねて学ぶこういうことを、大学生のときに起業し、時流に乗って成功してしまった彼には学ぶ機会がなかったのかもしれない。それは幸せなことだったのかもしれないが、日本にとって、若い経営者の失敗の舞台は、少々、大きすぎたのかもしれない。

 やはり彼には同じように成功しつつ失敗した小室哲哉氏が被って見える。お金を稼いだ人にそれなりの人生経験が伴っていないと、すぐに駄目な方向へひっぱる人というのは群がってくるのがこの国だ。お金で買えないものは経験であり、苦労であり、人間的な成長だったのかもしれない。

 苦労や苦難は人を成長させる。ホリエモンの場合には少し大きな舞台での失敗になってしまったが、この失敗をバネにして、人の気持ちを理解できる偉大な革命家になって欲しいなぁ、と思ってしまった。日本にはこういう人材は少ないので、個人的には応援しています。


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