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2009.03.22 Sunday

いい会社をつくりましょう。

いい会社って何だ?

 かんてん、を御存知だろうか? 海草であるテングサから作られるゼラチンみたいなもので、実は日本で発見され、世界に広がっていったもの。昔は気候の状況に左右されるとても相場が安定しない商品だったそうだ。

 この寒天を安定供給させるという事業を行っているのが伊那食品工業株式会社。最近では、納豆のたれを寒天で固めたものがヒットして話題になった。この寒天を開発したのもこの会社である。

 創業以来、48年間、連続増収増員増益。2002年度中堅・中小企業優秀経営者検証制度最優秀経営者賞受賞。これだけ聞くと前に前に、という感じもするけれども、決してそんなことはない。知られざる優良企業ここにあり、という見本のような会社のようだ。

・日本の株式市場が機能していないから上場はしない。
・決算は三年に一度くらいがちょうどいい。
・急成長をしないことも社会貢献。
・「年功序列」は自然の秩序。

 とまあ、ビジネス書をよく読まれるような方からは、え?というような内容であるが、それがしっかりと信念に基づいて、そして何より実績に基づいて語られている。これがすばらしい。

 この本はどうやら版元でもあり編集者でもある文屋さんが、聞き書きして作られたようだ。だから、とても平易で読みやすく、語りかけてくるような印象になっている。

 ということで、この本は書評した要約したりというよりは、手に取って読んでください、という感じではあるが、それでは意味がないので、できるだけ紹介してみよう。

 この会社の社是は、「いい会社をつくりましょう たくましく そして やさしく」。良い会社、儲かる会社ではなくて、周りの人からいい会社だね、と言われるような会社をつくる。そういう発想からこの会社はスタートしている。

 そしてさらには社員からも、取引先からも「いい会社」と言われるようにする。近隣に住んでいる人からも、もっと大きな地域からも、ということで、先にあげた賞は、いい会社である、と認められた、ということになる。

 もちろん、上場企業がここにあげているようなことを実際にできるとは思えない。それこそ株主にとっても、日本の会社法制度にとっても「いい会社」ではなくなるからだ。

 しかし、「文化軸とトレンド軸を見極める」「この会社で幸せになれる人を雇用する」「末広がりの八の字経営」など、どんな会社の経営者でも参考になる考え方はあるだろう。そういう意味で、つまむように読んでみるのがこの本の読み方だろう。

 最後に、寒天製造メーカーというのは、実は日本には数社しかないという。しかし医療用なども含め、ニーズはたくさんある。相場商品であったとうことは、儲けようと思えば別な形も取れるところに、そういう方法を取らないことで、競争を避けている、とも考えられる。

 そういう事情を知りつつ読むと、この会社の「賢さ」が見えてくる。これこそが、理念に裏打ちされた、戦略なのだと思った。


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