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2007.12.02 Sunday

ヒトデはクモよりなぜ強い 21世紀はリーダーなき組織が勝つ

リーダーなき組織を、どう構築できるのか?

 副題に「21世紀はリーダーなき組織が勝つ」とある。そしてそれに対比されているのが、普通の組織、分権型・階層型組織である。

 この本でその象徴とされているのが、ヒトデである。ヒトデは例えば真っ二つに切断したとすると、その2つの切片それぞれがヒトデとして活動を始める。

 そもそもアメリカでインターネットが開発された背景には、本部が核攻撃を受けても、他の基地が反撃することができるようにするためだったと言われている。これはまさにヒトデだ。


 だからこの本の中でも、インターネット上のサービスが多数、登場するのも理解できる。例えば、Wikipeida。ボランティア参加によるインターネット上の百科事典だ。あるいはSkipe。無料のソフトウェアを使う無料のIP電話である。あるいは数々のフリーウェアのソフト達。

 これらに参加している人は利用者であり、営業マンであり、開発者でもあったりする。開発まではできなくとも、意見を言ったり改善要求をしたりする。しかも、どこまで関わるかはその人次第。あくまで自主性に任されている。

 では、現実世界で同様の組織が作れるのか、というポイントである。

 一応、組織の例としてあげられているものはある。アパッチ族とアルカイダである。しかし、これらの取り上げられ方も微妙だ。

 結局、結論としては、ヒトデ型組織の要素を旧来の分権型組織にはめ込んだ「ハイブリッド組織」の提案で、この本は終わっている。

 残念なのが、この本の著者達が専門外であるために触れられていない点である。たとえば、アルカイダの前提となるイスラムの組織はどうなのか? また、世界最大にして最古のボランティアネットワークである、カトリックはどうなのか? あるいは、離散を経て国家を建設したユダヤの組織はどうなっていたのか?

 中央集中型の組織にはどうしても規模の限界…つまりは、管理コストの増大による効率の悪さによる競争力の低下、あるいは管理漏れによる組織の崩壊という問題を抱えている。ローマ帝国がキリスト教に負けたのも、同じ理屈である。

 この本に「歴史的視点」が欠けているのは残念だが、GEやIBMなど、分散型組織を取り入れた企業が成功している、という事例は、企業の組織戦略について悩める日本の会社にとっても参考になるだろう。分散型組織は管理コストが少ない。ということは、人が少なくなっても、人が欠けても動き続ける組織であるということだ。

 最後の章にはそのためのキーワードが語られている。

 組織規模を小さくする、ネットワーク効果を利用する、無秩序状態を受け入れる、組織の端に最高の知識や情報があることを理解する、誰もが貢献できるようにする、触媒を用意する、イデオロギーを用意する、フラットにする・・・。

 これらはそんなに難しいことではない。産業革命前までは、実際、人類にとって非常に当たり前な組織の作り方だった。

 しかし、今、現代に生きる我々にとっては、その区別が非常に難しい。なぜなら、この種の組織の作り方を忘れ、読み取る力を失ってしまったからだ。そして人は思う。この組織があやしい、とか、怖いとか、宗教みたい、という風に。しかし、それは単に、リテラシーの不足なのである。

 そういう意味でも、この本を読むことをお勧めする。ある組織を見るときに、その組織がどういう形態になっているのかを理解できるようになるだろう。


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