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2003.01.06 Monday

巨象も踊る

巨象は踊れない、とはだれにも言わせない。

巨象も踊る
巨象も踊る
posted with 簡単リンクくん at 2003. 1. 6
ルイス・ガースナー著
山岡 洋一訳
高遠 裕子訳
日本経済新聞社
(2002.12)

 ルイス・ガースナー。ビル・ゲイツやサム・ウォルトン、ジャック・ウェルチなどに比べると、一般的にはその名前はあまり知られていない。しかし、古いサーバー会社でしかなくなっていたIBMにあの e-business のコマーシャルで有名なコンセプトを作り、この巨大企業を再生させた、と聞くと、彼の本がベストセラーになるのも納得するだろう。この本には、彼がIBMという死に絶えようとしていたマンモスを、「踊る巨象」に蘇らせた軌跡が描かれている。

 IBMの問題は、会社が大きかったゆえの問題ではなかった。あなたの会社や仕事には、以下のような症状はないだろうか?

・過去の成功体験が繰り返し語られている。
・行動するより、しない決定の方が容易である。
・「顧客が何を必要としているのか」より、「自社が何をできるのか」を優先する。
・社内にしか通用しない専門用語が飛び交っている。
・経営者が他社の買収に活路を見出そうとしている。
・経営陣が本業以外によって生き残りを目指そうとしている。
・権力を現場に委譲することで問題が解決すると考えている。

 問題なのは、自身のビジネスを愛する情熱があふれている「踊る」会社であるかどうか、なのである。そして情熱を感じていない会社が生き延びていることが招いているのが、今の日本の企業の惨状なのだと思う。

 この本は経営改革への処方箋ではない。答えを教えてくれる本ではない。確かにこの本を読めば自社に当てはめるための改革のヒントはいくらでも転がっている(ご丁寧に、巻末にはガースナーが全社員に送ったメールの例まで掲載されている)。しかし、戦略には限界がある、と彼は言う。必要なものは実行・行動、そしてそれを支える「勝つことへの情熱」。この本に書かれているのはガースナーのその「情熱」だ。

 日本の経済ニュースを見ていると、上に挙げた「症状」がそのまま日本経済全体に当てはまるような気もしている。この本を読み、彼の情熱に胸を熱くする人が多ければ、日本経済もまだまだ大丈夫だと信じたい。


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(Le Petit Royaume 2007/05/12 2:56 PM)

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