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2007.04.01 Sunday

虚構 堀江と私とライブドア

ホリエモンとライブドアのリアル

虚構
虚構
posted with 簡単リンクくん at 2007. 4. 1
宮内 亮治著
講談社
(2007.3)

 タイトルに「虚構」とあるが、この本を読んで感じたのは、とんでもないリアルさ、臨場感だ。特に、堀江本を過去に読んだことある人は、この本を読むと行間が埋まっていく感じがして、とてもわくわくすると思う。まるで推理小説の解決を読むかのような如く。

 吉村達也の小説に『金閣寺の惨劇』『銀閣寺の惨劇』という2冊がある。どちらも単独で楽しめるし、どちらから読んでもいい。ただし、2冊目を読み終えるとそこにどんでん返しが待っている、という不思議な作品。この本を読んだ読者はそんな不思議な感覚にとらわれるのではないだろうか?

 ここで描かれているのはお金とメディアを利用しようとして、そして翻弄された人間達である。そもそも、結局、どんな風にライブドアは変質していったのか、ホリエモンはいつ、どのように変わっていったのか、そしてなぜ、あの時期に検察は踏み込み、ライブドア・ショックが起こったのか。

 そこには証券会社が抱えているゆがみ、金融セクションと検察セクションとの関係、政治と経済とのバランス、日本の金融マーケットの閉鎖性とそれを利用した海外ファンドの動き、そして個性あふれる登場人物たちの思惑、そして変質。そんなものが複雑に絡み合っていたことが、この本を通して浮かび上がってくる。これは将来、一流のドラマになる、と思った。むしろ、私が書きたいぐらいだ(笑。

 で、最後に思うのは、結局、彼らは成功したのではないか、ということだ。確かに逮捕され、留置所に入れられた。しかし、ベンチャーキャピタルが上場させるためにつっこんだお金も既にIPOで返し、その際に得られた利益、さらには、フジテレビとの和解で引き出した利益によって、彼らは悠々自適な生活を今後、送って困らないだけの財産を得ている。

 さらには、日本の株式制度、金融制度、証券制度の弱点をあぶり出し、改革へと結びつけた。この本もそうだが、出版業界やマスコミ業界にネタを提供し、それだけでもかなりのお金の流れを生み出した。

 ここで思い出すのは、堀江本のタイトル『稼ぐが勝ち』である。最近の若い人たちにとって、会社というのは一生をそこで費やす場所ではなく、安定した収入を得るための居場所である、という認識である。そして、得たお金を元手に、アーリーリタイアを目指す。これが理想。

 そう考えると、まあ、今後、裁判が続きそうなホリエモンは別としても、他のメンバーは一定のお金を得て、しんどい自転車操業の会社を辞めることができたわけで、これは「勝ち逃げ」ではないか、という気もしないではない。むしろあの破綻が計画的だった?そんなことまで思ってしまう。

 ちなみにこの本の著者、宮内氏は中国に拠点を置き、ビジネスを開始している。日本のアウトソーシングと中国向けビジネスで10年間は現地で頑張るそうだ。彼ならきっと、驚くほどの成功を手に入れるに違いない。

 今の日本の若者を見て思うのは、行動しない、ということだ。ライブドアの手法はもう使えないが、行動することのスピリットは今後も学ぶところが多いだろう。

 そして成功しても、お金やメディアに翻弄されず、さらに頑張れるか。ライブドアの教訓は、きっと生かされることだろう。

 成功を夢見る「行動する」若者に、読んで欲しい一冊である。


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