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2007.02.28 Wednesday

下流志向 学ばない子どもたち働かない若者たち

希望のない日本の未来に希望を!

 この本にはたくさんの不思議がある。

 まず最初に不思議なのは、この本がベストセラーになっていること。こんな救いのない本を買っている人がそんなにいるということに、まずは驚かされる。

 そしてもちろん、内容にも。もちろん学級崩壊とかニートの問題というのは認識していたが、これほどまでに日本の未来が崩壊の危機にあるということに、驚いた。いや、もう崩壊している、ということのかもしれない。わが子に身の覚えのある親がこの本を買っているのかもしれない。

 著者は神戸女学院大学文学部教授。専門はフランス思想、映画論、武道論。教育の専門家でも社会学の専門でもないが、最近は専門外の人の方が言いたい放題言える世の中だから、ちょうどいいのかもしれない。

 この本のテーマは、「アメリカンモデルの崩壊と、教育・労働から逃げる子ども・若者達」。で、ちなみにソリューションは提供されていない。

 子どもはそのロールモデルを親に求める。親はどうか。父親は自分を犠牲にして妻のため、子どものために働いている。妻は働く旦那のため、自分を犠牲にして旦那に尽くす。子どもは思う。何で自分を犠牲にして何かをしなければならないのだろう・・・。

 そして教室で訴える。自分が机に座って勉強することで、何を自分は得られるの? 社会に訴える。自分が時間を拘束されて労働することで、何を得られるの?

 そして彼らは結局、純粋な消費者になった。ゲームをしたり、ネットを見たりして時間を過ごす。特にニートを養っているのが両親だとすると、彼らは親への復讐かのごとく、消費をし続ける。引きこもっていても消費ができるのが、ネット時代の恩恵だとしたら、これはかなり悲しい。

 ここからはちょっとこの本から外れるけれども、これは結局、今の日本の商業主義の結果なのかもしれない、と思う。

 私が学生の頃、子どもの頃にはありえなかった風景が、今では当たり前になっている。子供向けブランド服。子供向け美容院。子供向けケータイ。学生向けクレジットカード。全部、ありえない。

 きっといつの頃か、日本のビジネスマーケットは子どもに市場を広げることを考えた。その前提にはもちろん、人口が減少する社会において、なんとか販売数を上げたい、生産性を向上さぜたい、という意図があったことだろう。そのために、いろいろなロジックを講じる。これは企業努力だ。曰く、子どもの居場所がわかるから安心。普段使いのクレジットカード。お財布ケータイ。クレジットカード機能搭載・・・。

 しかしそれは子どもを「稼ぐ」前に「使う」ことができる習慣をつけることを意味していたのかもしれない。そしてその習慣を心なくも用意するために、稼ぐ金額、与える金額を増やした両親・・・。

 子どもにお金や商品、サービスを与える前に、子どもの未来について話をする機会を増やすこと、人生において、学びと労働の喜びについての話をする時間を増やすことが、ゆっくりだけれどもいちばんの特効薬かもしれない。


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