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2007.01.14 Sunday

SQ生きかたの知能指数 ほんとうの「頭の良さ」とは何か

一人の「こころ」の知能指数から、二人の「生きかた」の知能指数へ

SQ生きかたの知能指数
ダニエル・ゴールマン著
土屋 京子訳
日本経済新聞出版社
(2007.1)

 あのベストセラー『EQ こころの知能指数』のダニエル・ゴールマンが、ついに次のステップに話を進めた。そんな一冊が、この『SQ 生き方の知能指数』である。

 原題は、Social Intelligence。社会的才覚、とでも訳すか。つまりは社会の中で生きるための能力のことを言っている。生き方上手、という言い方がわかりやすいかもしれない。

 EQとの比較を著者の言葉で引用しよう。

「本書は、いわば『EQ〜こころの知能指数』の姉妹編である。人間の「こころの知能指数」を、こんどは別の観点、すなわち人間社会をより広範に理解するための観点から探求しようという試みだ。」(P13)

 別な部分ではこうある。

「本書では、「二人」の心理学、すなわち人と人が心を結び合ったとき何が起こるか、を考えようとしている。」(P13)

 人が社会の中でどういう振る舞いをするのか、というのはもちろん社会科学の分野だけれども、この本はもちろん、そういう本ではない。認知科学や心理学といった分野から、生物としての人間の能力について話を進めている。そういう意味で、人文科学と社会科学、そして自然科学の融合した地点に、この本は立っているとも言える。

 この『EQ』から『SQ』への流れにいたった理由には、最近の脳神経科学、あるいは認知科学の進歩がある。ただ、この分野はまだまだ研究の途上であるので、「現在のところは」とか「だんだん明らかになってきている」あるいは「今後の研究が必要である」というような書き方の部分も多い。まさに今後の科学の発展に期待したいところだ。

 そういう意味では、この本はある程度、著者の直感から書かれているということも言える。EQが、感情のコントロール、という内容であったとすれば、この本は社会的なかかわり方のコントロール、という本になるべきなのだろうが、残念ながら、この本では「社会的才覚」に目を向ける、というところにとどまっている。

 しかし、非常に示唆に富んだ一冊である。後はこの本の仮説に基づいた調査がいろいろとなされ、議論が展開していくことを望みたい。

 そして特に現在の日本では、高度成長時代以降、子育てや教育の分野で、この部分がかなり忘れられていると思う。ちなみにこの本では『甘えの構造』が紹介されていて、それは感情をお互いに思いやることのできる、東アジア文化的な、とても良い状態であると書かれている。当の日本人の我々は、そうした良さを受け継ぎ、伝えることをしなかったために、良い部分が失われているように思う。

 この本で取り扱われている話題は他にも、恋愛や医療現場など、様々な人のかかわる場所に展開している。そして最後の章は「より良い社会のために」で終わる。

 人間のみが言葉を持ち、社会を形成してきた。であれば、より良い社会を作れるのも人間にしか出来ないことだ。人間のもともとの性質に良い社会を形成するプログラムがされているとすれば、それを知ることで我々の社会生活はもっと豊かになる。

 そんな可能性を感じさせてくれる一冊。何度も読み返したい。


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