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2007.01.04 Thursday

フラット化する世界

フラット化した世界であなたは成功できる世界観を持っているか?

フラット化する世界 上
トーマス・フリードマン著
伏見 威蕃訳
日本経済新聞社
(2006.5)


フラット化する世界 下
トーマス・フリードマン著
伏見 威蕃訳
日本経済新聞社
(2006.5)


 私事で恐縮であるが、インドと日本のビジネス交流を支援するコミュニティサイト、ALL ABOUT INDIA の運営をお手伝いさせていただいてほぼ一年になる。いろいろ事情があってまだ世に出てはいないが、スタートにあたり、主催者のTさんにインタビューをさせていただいた原稿も手元にある。いつかこの原稿が出版される日がくれば、日本とインドのビジネス交流の歴史のひとつを紐解くことになるだろうが、それはともかく、私はインドがこんなに日本に近い場所にある国だと思っていなかった。そしてこんなにITが進んだ国になっていたということも知らなかった。

 それから1年後、私は、ALL ABOUT INDIA のサイト上に書かれた日記、それもインフォシスというインドのITを象徴する会社に勤める、日本人のOLが書いた日記を見て、この本を知ることになる。それが今日の一冊、『フラット化する世界』である。

 この本は1999年に『レクサスとオリーブの木』でグローバリゼーションの進展とその影響について記した著者が、その後の世界について書いたもの。前回の主役の国が日本であるとするなら、今回の主役はインド。巻頭はインドのバンガロールにある、インフォシス本社から始まる。そしてこの本の舞台のほとんどはインドである。他に出てくる国といえば、もちろんアメリカ、そして日本、中国。著者は彼が言うグローバリゼーションが進展した後の世界の構造、『フラット化』について、10の理由を述べる。曰く、ベルリン
の壁崩壊、インターネットの出現、ソフトウェアの進化、コミュニティの創生、Y2K問題、中国のWTO加盟、ウォルマートの世界進出、UPSの新事業、グーグルの出現、新テクノロジーの登場。そして後半では、フラット化してしまった世界に起こる2つの心配事、つまりは、ビン・ラディンのような輩の出現と、そもそもアメリカ人はどうやって生き残ればいいのか、について書いている。

 最近、ベストセラーになった一冊に、『世界の日本人ジョーク集』という新書がある。個人的にはあまり日本人ジョークで笑えなかったが、ある求職中のアメリカ人の一日、というのがあって、これは笑った。簡単に言うと、彼の周囲にあふれているものは世界中から集めてきたものばかり。そして彼が、どうしてアメリカには職がないんだろう、とつぶやく、という話。ちなみにトーマス・フリードマンであれば、こう彼に言うだろう。「創造的であれ」と。世界中を覆うフラット化の波はとどまることを知らない。左脳的な正確さを求められるが単純な仕事はやがてはフラット化の波に飲み込まれ、仕事はインドや中国へ奪われていく。たえず付加価値の高い仕事を探していくのだ。そういう世界を受け入れれば、ウォルマートで好きなものも変えるし、DELLのパソコンも安いままだ。もちろんカスタマーサポートの助けが必要なら、訓練された優秀なインド人が、モチベーション高く話を聞き、あなたを助けてくれるだろう、と。

 英語に比べて日本語は厄介だ。複雑な文字体系を持っているし、何より、学んでも使える国は限られている。しかし時間の問題だ。この本に登場する大前研一は、既に中国に日本人の業務をアウトソーシングする事業を設営するコンサルティングビジネスを行っている。日本人である私達が電話しているコールセンターの一部は、既に大連にあるのかもしれないのだ。

 フラット化は脅威ではない。ただ、このフラット化している世界観に立っているかいないかで、これから先の未来への切符を手に入れられるか入れられないかが決まる。9・11のテロを企てたメンバーは確かにその切符を手に入れていた。しかしそのような脅威から市民や国民を守るべき立場の人達には、その切符は想像すらできないものだったに違いない。起こってから見れば、彼らの手法はそれほどとんでもないことをしたわけではないことがわかる。しかし、起こるまで、その可能性について、誰も考えることができなかったのだ。

 これと同じことはビジネスでも起こる。Y2Kで駆り出されたインド人の技術者達が、その後も勉強を続け、やがては世界一のIT技術者排出国になるなど、想像できただろうか。そして今やアメリカの名だたる企業のシステムのアウトソーシング先として機能している。インドとパキスタンがいきなり戦争になったら、アメリカの経済は大混乱に陥るかもしれない。中国と台湾は政治的には問題を抱えているかもしれないが、双方から出荷される部品がないと、あなたのDELLのパソコンは組み立てが完了しない。

 さて、あなたとあなたの子供達のことを考えてみよう。日本は日本語の壁があって、まだフラット化からは守られているように思える。しかし、あなたも意識しないところで、フラット化後の世界を受け入れ始めている。例えばアップルのipodを光るほど磨き上げる技術は日本のとある町工場でしかできない。100円ショップに並んでいるものはもちろん中国産。日本食が健康に良いとなると世界中で日本料理屋ができ、魚の値段が高騰する。内戦のユーゴを出たオシム監督が平和日本のサッカー代表監督に就任する。ちなみに三都主、闘莉王はブラジルから帰化した日本人だ。日本の国技である相撲でも、最強の横綱はモンゴル人になっている。

 世界は一つ。とは良く言われた言葉である。しかし、その一体感はますます密接に、しかも空間を無視して結びつくようになっている。世界はフラットになった。平らで凸凹のない世界へ向かっている。そのイメージを膨らましてから、2007年の世界に臨むことをお勧めしたい。


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