2006.10.01 Sunday
美しい国へ
「美しい国へ」というタイトルは、今の国が美しくない、ということを意味している。しかし残念ながら、この本は、「いかに私は日本を「美しい国」にするか、という内容の本ではない。中で一切、そういう内容がないにも関わらず、この本のタイトルを「美しい国へ」というタイトルにしたのは編集者の手腕。おそらく「国家の品格」の客層にアピールしようという戦略だろうか。なかなかお見事。
で、この本の内容は、新しく総理に就任した安倍晋三氏が、政治家とは何か、そして政治家として、外交、ナショナリズム、教育、少子化、格差社会の問題についてどう考えているのか、ということを整理したもの。本来であれば自民党の広報紙かHPで無料で読めばいいような内容を、こうして新書にしてしまい、それをベストセラーにしてしまうあたり、自民党の広報はいい仕事をしていると思う。
この本を読んで非常に思うのは、安倍さんが勉強家だなぁ、ということである。真面目な人なんだろうなぁ、と思う。お坊ちゃんというか、インテリというか、表現はいろいろできるが、まず、頭で考え、綺麗事を理論的に語る。そういう印象である。比較する相手が悪いかもしれないが、小泉首相のような芸術家タイプ、右脳タイプではない。正しいから正しい、私を信じてやって欲しい。とよくわからない小泉首相だからこそ、論理や理屈やしがらみにこだわらず、思い切った改革ができた。それに反して、左脳型、理論や論理を重んじそうな安倍首相は、きっと、周囲の政治家や官僚にとって、やりやすい政治家なのではないかな、と思う。
こうなるときっと、マスコミ的には面白くない政治が展開されるだろう。根回しや調整重視で、サプライズはあまりないに違いない。穏やかな国会なんて、どうやって面白く報道すればいいんだろうか?
ということで、きっと安倍政権は地味で、国民から見るとよくわからない
ままにいろいろなことが決まっていく政権になるのではないかと、私は思う。しかしそれでいいのかな?
もちろん以上は私の仮説。予測でしかない。だからこれからどうなるのか、それは皆さんの目で確かめて欲しいと思う。
で、結局、「美しい国」ってどういう国なんですかね? 過去に国家の形容詞に「美」を持ち込んで、うまくいった国を知らないので、ちょっと不安なんですが・・・。