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2006.07.02 Sunday

芸術起業論

世界のMURAKAMI光臨


 村上という名前の人は、いろいろ語ってもらいたい人が多い。村上春樹、村上龍、そしてムラカミファンドの村上世彰氏、そして最後に村上隆。

 村上隆。1962年東京生まれ。アーティスト。有限会社カイカイキキ代表。各種のメディアやイベントなど多角的活動や若手アーティストのプロデュース、展覧会のキュレーションも積極的に展開する。

 日本のフィギィアを芸術にし、サトエリのコスプレまでもを芸術にしてしまう。まさに生産され消費(消耗)されていく日本のサブカルチャーを世界に芸術として認めさせた第一人者。

 世間的には六本木ヒルズのぽあぽあしたデザインの方が有名かもしれないですね。しかしこの人、確かにただもんではないです。前から話を聞いてみたくて、うずうずしていました。

 この本はなんと完成まで4年の歳月がかかったといいます。内容は村上氏のアート論ではなく、マネジメントとマーケティング、セールスの本です。

 表紙は村上氏のドアップ、後ろは村上氏の後頭部。普段は書店でカバーをしてもらわない私もさすがに村上氏の生首を持ち歩くというのも気持ち悪いので、カバーをかけてもらいました。この装丁でもおわかりいただけるように、要はこの本は、ムラカミ氏が何を考え、行動しているのか、という、ムラカミ流の解体新書なのです。

 ムラカミ氏はこう言っています。

「これは特別なことではありません。個人の持つブランドを商品にすることは、現実の世界では行われ続けています。
 テレビの番組制作の能力が落ちたせいなのか、最近、人間の一生のドラマの激しさを借りた、個人史をブランド化して満足しているような番組ばかりが放送されている……といった具合に、人の人生とはつまりブランドの基本なのです。」(P91)

 日本の芸術界へのアンチテーゼを試み、行き詰まり、NYへ拠点を移す。抜け出してみると何もできず、外から自分を眺め直し、そこに原爆で骨抜きにされた後、オタク文化を生み出した不思議な日本のリアルを見た。

 こういう話のすべてがおそらくムラカミ氏の自己ブランドプロデュースによるものなんでしょう。同じページで、

「ぼくは四十四年の歴史に、最近三百年ほどの日本の美術の歴史の文脈を用意周到に関連づけてみました。」(P91)

 とあります。

 アート、芸術というとどうも個人的な作業のようにも思えます。ムラカミ氏はそれをビジネスのレベルにまで移行しようとしています。その過程を見ていますと、ちっちゃいところからどうやって大きな仕事をするのか、そのコツのようなものが垣間見えてきます。

 ですからこの本は、ムラカミ氏の芸術論の本ではありません。あくまで芸術「起業」論なのです。

 自分ブランドを立ち上げようとしている方、もちろんムラカミ氏のような立派に稼ぐ(?)アーティストになりたいかた、必読の一冊です。


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芸術起業論の違和感
芸術起業論 村上 隆 今さらですが、日本で最も売れっ子のアーティスト、世界中で大人気の村上隆氏の、話題の著書「芸術起業論」を読みました。 「アートはビジネス」という考え方。 「アーティストの価値」=「作品の市場価格」という主張を展開しています。
(午後のアトリエ  + atelier Coju blog + 2007/02/25 4:00 PM)

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