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2006.04.01 Saturday

日はまた昇る 日本のこれからの15年

「革新」よりも「改善」の国、ニッポン♪

日はまた昇る
日はまた昇る
posted with 簡単リンクくん at 2006. 4. 1
ビル・エモット著
吉田 利子訳
草思社
(2006.2)


 WBSが開催され、なぜ仕組みとしてアメリカが勝つように有利に仕組まれていたにも関わらず、さらには審判問題で状況的に不利だったにも関わらず、しかも韓国にたびたび敗北したにも関わらず、日本が優勝してしまったのか?

 ライブドアショックで株価が暴落、マンションは耐震偽装、中国と韓国の反小泉感情は高まり、米国は汚染牛肉を日本へ輸出。これだけ盛りだくさんの材料を持っていた民主党が偽造メールひとつで内部崩壊。でも日経平均は5年半ぶりの高水準。

 いったい、この国はどこでどのように動いているのだろう?

 そんなことを思いつつ、このちょっと前の本を手に取りました。かつて日本の没落を予言したというビル・エモットの『日はまた昇る』です。

 この本は2005年の10月に『エコノミスト』の特集記事を元に、日本の読者向けに書かれたもの。内容は日本人に向けたエールである、と思えなくもないようなものです。

 こう世の中の変化の動きが早いと予測をするのも大変だ。ホリエモンが拘置所送りになり、前原代表が辞任することになろうとは、まさか誰も思っていなかったでしょう。しかしそういう時事の部分を些細な部分として、彼の視点から見たときに、日本というのがどういう国なのか、なるほど、そういう見方もあるのかと面白く読めました。

 彼が日本のキーワードとしてあげているのが「徐々に」というもの。これが何より面白い。

「日本は革命の起こる国ではなくて、いったん合意のもとにコースが決まったら、忠実かつ着実にそのコースを進む国なのである。」(P20)

「日本の有権者はイメージに乗せられて小泉氏を支持したのかもしれないが、同時に、先の定かでない過激な改革よりは、ゆっくりとした着実な変化を望むという意志を示したのかもしれない。」(P69)

「日本にはドラマはないのである」(P129)

 つまり、日本人は「改善」は好むが「革新」を望まない、ということだろうと思います。急激な変化はリスクを伴う。リスクを取らない、というやり方が日本人が安心して受け入れられるやり方であり、マスコミやメディアで見ている派手なパフォーマンスは瞬間、人の目を楽しませても、結果として日本人が選択する方向は「徐々に」変化していくということ。

 細かい改善改善を積み重ねて制度や仕組みを変えていく。この本でもNPOの推進や司法制度改革、そして最終仕上げとしての会社法など、法律制度の改革が日本を漸次的に変革してきたことが語られています。

 日本は軍事国家になりはしないし、靖国問題も一気に解決はしないし、外国からの移民を一気に受け入れたりもしない。少子化問題も解決しない。それでも日本人は改善を積み重ねて生産性を向上させ、女性の数が職場で増え、そしてロボットがもっと働くようになる。結果として、日はまた昇る。

 以上がビル・エモット氏が描く、これから15年の日本の姿です。いかがでしょう? 何しろ大胆な変革がないというお話ですから決して斬新な指摘ではありませんが、なぜか納得してしまいませんか?

 サッカーW杯での試合が終わるたび「改善点が見えた」というコメントが選手の口から出ますが、こういうコメントを聞くたび、海外で戦っていても、やはり彼も日本人だなぁ、と思うのは、私だけではないと思います。

 この明るい見通しが、エイプリル・フールにならないことを、祈りつつ。


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